作家あ行

2016年3月19日 (土)

井上荒野 『キャベツ炒めに捧ぐ』

アップしていなかった過去の読了作品を少しずつ。

表題の本は、出産直前に読んだもの。

全11品の食べ物を主題に描く11の物語。

舞台は街角の小さなお総菜屋さん。

アラウンド60の女性3人が主人公。

私の母に近い歳の女性の日常を綴ったもので、一人一人が渋く、味がある。

アラ60だって恋もするし、息抜きにビールも飲む。

亡くした夫や子ども、去っていった男、戻ってきた男。

どこかNHK制作のドラマを見ているようなかんじ。

いつか私もおばあちゃんくらいの年になって、彼女たちのような生き生きとした日々を送る日がくるだろうか・・・。


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2012年1月31日 (火)

『ニューヨークのとけない魔法』

岡田光世『ニューヨークのとけない魔法』文藝春秋
ニューヨークで暮らす作者が、実際に体験した出来事だったり、人だったりについて、徒然なるままに書かれたエッセイ。
エピソード毎に、一言、英語のつぶやきが漏れなくついてきてます。
英語のプチ勉強にもなります(^_^)
ニューヨークという場所が本当に日々、魔法をかけてくれるような場所なら、私もとけない魔法にかかりに行きたいε=ε=┏( ・_・)┛
ただ、どうせ魔法にかけられるなら、カエルに変身するようなやつじゃなくて、一生高等遊民みたくぽやーんと過ごせるような平和な魔法にかかりたい。。←ぜいたく

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2011年9月11日 (日)

『蒼林堂古書店へようこそ』

乾くるみ『蒼林堂古書店へようこそ』徳間書店

ミステリ専門の古書店、「蒼林堂」。

百円以上の買い物をすると珈琲を1杯出してくれる、小さな喫茶店でもある。

そこに集うのは、ミステリ好きだったり、店長の友人だったり、ひそかに恋心を抱く乙女だったり。

そして本のラストにわかる、秘密の暗号。。。

本と珈琲が好きな人には、たまらない空間なんだろうなあと思います。

新しい本のにおいも好きですが、古い本のあの独特なにおいも好きです。

いろんな人の人生の傍らにあったにおいというか。

だからすごく居心地がよかったんです、大学の研究室(笑)

先生は珈琲が好きで、豆から挽いた本格的な珈琲を飲ませてくださったし、

何より、四方八方本に囲まれた、閉鎖的なあの空間がたまらなく好きでした。

先生の仕事のお邪魔にならなければ、ずっといたいくらい好きな場所でした。

私もいつかあんな空間がほしいなあと思います。

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2010年7月19日 (月)

『MAZE』

Htbookcoverimage 恩田陸『MAZE』双葉文庫

アジアの西の果て、白い荒野に立つ矩形の建物。いったん中に入ると、戻ってこない人間が数多くいると伝えられている。その「人間消失のルール」とは?謎を解き明かすためにやってきた4人の男たちは、果たして真相を掴むことができるのか?異国の迷宮を舞台に描かれる、幻想的な長編ミステリー。

***

得体の知れない建物の物語は怖い。

けれど、その謎めいた部分にどうしても心惹かれ、踏み込もうとしてしまう人の心理はわかる気がする。

ミラーハウス、私はなんとなくあれを思い出す。

一度入ったら出てこられないような気がする。

あの建物の中に吸い込まれてしまうんじゃないかと思う。

仕掛けがわかればどうってことないのだろうけれどsweat01




なんだか変な感想になってしまいましたが、

なんだかそんなことを考えさせられてしまう本でした。

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2010年4月11日 (日)

『えんの松原』

Htbookcoverimage 伊藤遊『えんの松原』(福音館書店)

栄華を極める花の都のまん中に、怨霊たちのすみかがあった。何ものかに祟られた若き皇子・憲平と、女装の少年・音羽は、真実をもとめて世の闇、人の心の闇へと深く分け入ってゆく。

***

平安朝ファンタジーは久々に読みました。

映画「陰陽師」のシーンがちょいちょい頭の中をよぎります。

身分の異なる少年たちの友情がちょっぴり胸を熱くするファンタジーです。

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2009年12月18日 (金)

『霧の森となぞの声』

Htbookcoverimage 岡田淳『霧の森となぞの声』理論社

こそあどの森のどこかから不思議な歌声を聴いたスキッパー。

その声の在り処を追い求めて、こそあどの森の住人たちが森をさ迷うというお話。

***

『あかりの木の魔法』以来の新刊です。

今回はあまり浮き沈みがないかんじでした。

でもやっぱり癒されます、このシリーズconfident

岡田さんの他の作品もまた読みたくなってきました。

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2009年8月 4日 (火)

『娯楽都市・江戸の誘惑』

Htbookcoverimage 安藤優一郎『娯楽都市・江戸の誘惑』PHP研究所

芝居、相撲、寄席、見世物、花見、寺社の開帳、富突、大食い大会―天下泰平の江戸の町では、毎日どこかでイベントが行われていた。八百八町には刺激的な娯楽空間が多く、江戸っ子たちが遊びに費やした金が莫大な経済効果をもたらし、町を活性化させていたのである。本書は、江戸の経済を動かしたのは大商人ではなく、意外にも庶民であることを焙り出している。歓楽街で花開いた娯楽産業が、飲食業や出版業とのコラボレーションで、巨大ビジネスへと発展していくさまは、現代を彷彿とさせる。

第1章 浅草は最大の歓楽街(外国人の見た江戸の町;浅草寺はイベント会場;経済効果は計り知れず);
第2章 江戸の三大娯楽産業(宮地芝居の心意気;相撲興行は大賑わい;寄席は夜のお楽しみ);
第3章 夢の千両富(富札の購入;当せん金の泣き笑い;興行の舞台裏);
第4章 開帳を支える豪商たち(三井家とお稲荷様;住友家とお釈迦様);
第5章 巨大化していく遊興ビジネス(飲食業とのコラボレーション;「講」が支えた出開帳;隅田川・両国に流れ込む富;出版業との相乗効果)

(以上抜粋)

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元・江戸文学を専攻していた者としては、惹かれずにはおられないタイトルの本でした。

仕事の休憩時間を利用して、ちょこちょこ読み進めていき、昨日やっと読了しました。

この本の魅力は何よりも小見出し。

なかなかに興味をそそるチョイスがしてありますので、興味のあられる方は、ぜひご一読を。

江戸庶民の懐事情が垣間見られます。

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2009年6月18日 (木)

『配達あかずきん』

Htbookcoverimage 大崎梢『配達あかずきん』東京創元社

「いいよんさんわん」―近所に住む老人から託されたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後失踪した母を捜しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビルの六階にある書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が、さまざまな謎に取り組んでいく。本邦初の本格書店ミステリ、シリーズ第一弾。(裏表紙より抜粋)

***

本プロの元オーナーさんの多くが読まれた本のようです。

加えて、本屋さんが舞台ということで。

元書店員としてはどうにもこうにも気になってしまいました(笑)

<書店あるある>が随所にちりばめられています。

さすがに事件に発展するような出来事はそうそうありませんがsweat01

「配達あかずきん」の話が一番ドキドキしました。

定期購読の雑誌から大きな事件に発展してしまうなんて・・・

実際起こったらえらいことですねwobbly

クレーム電話が恐ろしい・・・down

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本屋さんのことがよくわかる内容になっています。

薄給でもがんばって働く書店員さんにあたたかい眼差しを!

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2009年1月31日 (土)

『世話焼き長屋』

Htbookcoverimage 池波正太郎・宇江佐真理・乙川優三郎・北原亞以子・村上元三『世話焼き長屋』新潮社

猫ばかり可愛がり、女房をないがしろにする夫。

娘の支度金のために都都逸名人と勝負する夫。

暴力・へ理屈ばかりのダメ夫。

弟子に妻を取られた夫。

父親の残した借財を律儀に返し続ける夫。

人情伺える時代短編集。

***

どの作家さんも初めての方々ばかりでした。

どの作品も読みやすかったですが、私の中で一番印象深かったのは乙川さんの「小田原鰹」。

一番話に起伏があって、ダメな夫が最終的には人を助けて死んでいったところが感動的で、許せないような男だったけれど、奥さんもあの最期の姿を見たら少しは・・・でもやっぱり改心しても許せないものかな・・・

夫婦とは本当に複雑なものですねsweat02

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2009年1月27日 (火)

『噂』

Htbookcoverimage 荻原浩『噂』新潮社

ニューヨークからやってきた殺人鬼「レインマン」。

彼は若い女をターゲットとし、殺害後、両足首を切断し持ち去る。

「ミリエル」の香水を付けていれば、「レインマン」から逃れられる。

・・・

そんな「噂」をティーンの間に広め、新発売の香水を宣伝しようとした企業があった。

しかしその「噂」はやがて現実のものとなり、足首の無い少女の遺体が発見される。

「レインマン」は本当に存在したのか。

模倣犯か。

もしや香水宣伝のために・・・

驚きの結末が待つサイコ・サスペンス。

***

『押入れのちよ』が面白かったので、荻原さん作品に再度挑戦してみました!

犯人が色覚異常というところで「レインマン」の正体はわかってしまったのですがsweat02、最後まで読んでみるとびっくり!おもわず「わぉ!」と声が出てしまいましたcoldsweats01

都市伝説のような噂を流布させ、商品を売り込もうとするなんて、あまり効果的とは思えませんでしたが、そこはフィクションなのでご愛嬌というところでしょうか。

でも、このような凄惨な事件の話を読んでいると、「悪魔」と呼ばれた星島被告の事件を思い出します。

実際にあのような、卑劣でおぞましい事件を起こす人間がいるから恐いですshock

フィクションだと笑い話にばかりできないところに、現代の狂気が孕んでおり、やり切れぬ気持ちになるのでした。

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